このたび、株式会社エスイーは東電設計株式会社、五洋建設株式会社と共同開発した「小規模屋外貯蔵タンクの津波・水害による流出防止対策工法」について、施工を希望する第三者への特許実施許諾手続きの事務業務を、共同開発者2社から受託することとなりました。

これまで、小規模の屋外貯蔵タンクには津波や水害に対する有効な対策が提案されていませんでしたが、本工法を活用すれば、津波や水害に対する防災に大きく貢献できると考えております。

 

1.開発の背景

現在国内には500kL未満の小規模屋外貯蔵タンクは、各種プラントや漁港、農場などに6万基以上あるとされており、2011年の東日本大震災では津波により多数のタンクが甚大な被害を受けました。

当社は、東電設計株式会社が総務省消防庁から受託した「消防防災科学技術研究推進制度」の業務において共同研究者として研究開発に係わり、対策工法の構造や有効性等を検討してきました。

 

2.対策工法の概要

以下の2つの対策工法を開発しました。

なお、両工法は、消防庁危険物保安室の「小規模屋外貯蔵タンクの津波・水害対策工法に係わるガイドライン」に有効な対策工法として示されています。

https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/post-97/04/guideline1.pdf

対策工法2のイメージ
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対策工法2のイメージ

(1)対策工法1
既設タンクの下部から基礎にかけて、炭素繊維強化プラスチック(繊維シート)を巻付けて固定することで、繊維シートの強度により津波・水害時のタンクの移動を防止するほか、タンク底版下への浸水を防ぐことで浮力を発生させない効果も期待できます。


(2)対策工法2

アイプレート(固定金具)を取り付けたワイヤーとグラウンドアンカーを、繊維シートにより既設タンクに固定することで、津波・水害時のタンクの移動を防止するとともに、万が一移動を始めてもグラウンドアンカーの引止め効果で流出による被害を防止できます。

3.当社の対応範囲

対策工法1、2とも、施工希望者に特許の実施権を付与し、実施権料を受領します。当社は特許の持ち分比率に応じた実施権料の受領と、事務手続きの受託料を受領します。

また、対策工法2が採用された場合は、事業者や施工会社に対して当社製品であるタイブルとタイブルアンカーの性能や品質を理解いただくことにより、製品の受注を目指します。

 

4.今後の展開

今後は本工法の普及に努め、当社がこれまで蓄積してきた橋梁や斜面などの防災技術と合わせて、我が国の防災に寄与することで、広く社会貢献できるように活動してまいります。